時の砂時計 本棚ひとつ。＜少女マンガ＞
「笑う大天使(ミカエル)」（作／川原 泉）


史緒／「あんたたち　ひょっとして　猫飼ってない？エサのいらないやつ」
和音／「更科柚子・・・・おまえもか〜」
柚子／「あんたこそっ」

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そこは名門女子校、聖（セント）ミカエル学園。ここにいる生徒達は「大天使（アークエンジェル）の乙女達」と言われ、
挨拶は「ごきげんよう」で、名前の後には「様」付けで、礼拝堂で朝のお祈りしちゃう学校だ（笑）。
そんな学校の高等部で、息を潜め（？）、猫をかぶっている、一応「お嬢様」と定義される3人がいた。

羊が1匹。司城 史緒(しじょう ふみお)。
母子二人で17年間暮してきたが母が死亡。すると、今まで存在も知らなかった兄がやって来た。
・・・父の死後、母が追い出された兄の家は上流階級。元・華族様だ。今までの普通の庶民の暮らしから一転。別世界。
羊が2匹。斎木 和音(さいき かずね)。
父は１代で財を成したホテル王。母は世が世なら大名のお姫様の家柄。
家が「大」がつく程のお金持ちでも、深窓のお嬢様は育たなかった（笑）。幼稚園からミカエルに居るが、どうしてもなじめない。
羊が3匹。更科 柚子(さらしな ゆずこ)。
家は町の大衆食堂からスタートして外食産業のブームに乗り、あっという間に全国チェーン。
早く言っちゃうと成金（笑）。庶民の心のまま近くの高校に何も知らないで入学したら・・・そこには「乙女達」が居た（笑）。

周りに対して猫をかぶりつづけ、お互いが同じ「猫かぶりキャリア」（笑）とは知らずに、「お嬢様」として接して学校生活を送る。
そんな3人が史緒さんの転校を機に、ある日の事件で「あ、こいつ自分と同じだ」と気付いて仲良くなった。
冒頭の台詞は、それがお互いにばれた瞬間の台詞である（笑）。

人物はこんな感じで、内容はどんな感じかと言うと。ミカエル学園を舞台に3人の日常や、事件などが描かれてます。
のんきな3人娘や他の登場人物のセリフ運びが面白い。セリフが長い時もあるんだけど、苦になりません。
真面目なシーンの時に、キャラを普通に描かず、ギャグ調に崩して描く時があって、
なんかそれがムーミンみたいな顔の形で（笑）、のんきな空気がただよってます。これが川原さんの絵の「味」ですかね。
のんきな雰囲気の中に、哲学的な文章やセリフが混じるのも川原マンガならでは。難しいって事はないんですけどね。

ギャグ調に絵が崩して描かれていても、ほろりと泣けたり、じ〜んと来る。「いい話だな」って素直に思える。
こんな雰囲気が出せる漫画家さんは、そうそういるもんじゃないなーと思います。
「笑う大天使」はたったの全3巻ですが、1・2巻は笑えて、最終巻はしみじみとじ〜んと来たり、ほろりとする巻です。

川原さんはこの作品以外にも、読みきりタイプのコミックスがたくさん出てますんで、ぜひ読んでいただきたい！！

DATA:「笑う大天使（ミカエル）」―白泉社・花とゆめコミックス、または白泉社文庫より発売中。


★ 「こんなセリフがあるよ」のコーナー（笑）。★

― パート1・あらすじ ―
ある日の事件の罰として、3人は国語のロレンス先生に、「源氏物語」に関するレポート課題を課せられた。
以下に書く文章は、3人が共同作業の上、日本が世界に誇る王朝恋愛大河小説に関したレポートの結論である。
―――結論
・・・つまり　光源氏とゆー人は、独りよがりの悩みで周囲の人々を不幸に巻き込むだけでなく、さらにその執着心と多情さで
不幸を拡大させるとゆー得意技がパターン化された、「増殖ワラジムシ」であると言える。　（斎木 和音）
―――結論
・・・ゆえに　光源氏とゆー人は、性的衝動の赴くまま他を顧(かえり）みる事無く自らの欲望を満足させなければ気が済まない
ミーイズムの人であり、このよーなタイプはさしずめ「性衝動人」と申せましょう。　（司城 史緒）
―――結論
・・・だから　光源氏とゆー人は、女の人の迷惑も考えずやみくもに本能のまま行動し、知的ブレーキのあまり利かない性格か
或いはブレーキ自体が存在しない質（たち）であり、いわゆる「歩く煩悩様」の典型的な例だと思われます。　（更科 柚子）
・・・このレポートを読んだロレンス先生（♂）が、沈痛な面持ちで頭を抱えた事は言うまでも無かったそーな（笑）
偏見的に見てるかなと思うが、結構、真理をついているレポートだ（笑）。（第1巻・P.124より。）
― パート2・あらすじ ―
日本各地で女子高生連続誘拐事件が起きる。その魔の手はついにミカエル学園にまで・・・。
事件の真相に迫っていた3人は、首謀者に取り押さえられ、監禁状態に。なんとそこは国際的な人身売買組織のアジトだった！
和音／「商品だと！？　稀少価値だと！？　絶滅の危機だと！？　ざけんじゃねえっ」
柚子／「そいじゃ何か？　日本のお嬢様はワシントン条約で保護されている野生動物か！？　珍獣か！？」
史緒／「メキシコ スッポンか！？　ガラパゴス ゾウガメか！？　ジャイアント パンダか！？　ベンガル オオトカゲか！？　ボリビア ナマケモノか！？」
（一緒に捕まってた）マリーニ神父／「（泣きながら）いいえ　いいえ　いいえ　そんなに詳しく怒らないでください　うっうっう（；＿；」
マリーニ神父が、組織の人が話してるのを聞いた所によると、大和撫子幻想が未だに強い海外では日本の娘さんは価値が高いんだってさ（笑）。
史緒さんが言ってる動物の名前は、ワシントン条約指定されている動物だと思われる。詳しいな史緒さん（笑）。（第2巻・P.143より。）
― 番外編・あらすじ（・・・男性は読まない方がいいかも（笑）） ―
作家である兄ちゃん・一臣の、自称・黄金の右手をあやまって踏んだばっかりに、小説の原稿書きを口述筆記で手伝わされる史緒さん。
腹痛の為、調子が悪くて休憩を訴えるが兄ちゃんに却下される。一体全体、何でお腹が痛いのか！？
史緒／（心の中で）（「ひ・・・ひどいっっ　何で私がこんな目に・・・・・！　お・・・男にも、生理があればいいんだっ！！」）
（――――――――以下、史緒さんの想像―――――――――）
一臣／（いたって真面目な顔で）「若月君、きみ・・・ナプキン持ってませんか　さっき突然始まったんです」
若月 俊介／「そりゃまた急な事で　・・・しかし今日はちょっと持ち合わせが無くて・・・」
ロレンス／「僕のでよろしかったらどーぞ　タンポンですが・・・」　　　一臣／「タ・・・（＾＾；それは今まで使用したことがなくて・・・」
ロレンス／「なあに簡単ですよ。アプリケーター付きですからね　スムース・イン」　　　俊介／「あー　僕も最近それなんです　なかなか便利で・・・」
史緒／（心の中で）（「―――うん、これはいい・・・不気味だけど（＾＾；　となると子供産むのも平等だな。そんで、運の悪い方が妊娠するんだ」）
・・・などと想像してストレス解消してます。しかしまあ、なんつー想像でしょね（笑）。「スムース・イン」って、ロレンス先生・・・（爆）。
あ、ちなみに「若月 俊介」という人物は、和音さんの父の有能な秘書で、和音さんの養育係。28歳・独身（笑）（第3巻・P.162より。）

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